尼崎市ほほえみ歯科のスタッフブログ

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春に歯がしみやすくなる理由

はじめに――「春になって歯がしみる」は気のせいではない

「冬が終わってホッとしたのに、なぜか春になってから歯がしみるようになった」というご経験はありませんか。実はこれ、季節の変わり目に歯科クリニックへの来院が増えるパターンと一致しています。冷たいものを飲んだときや、外の風が口に入ったとき、あるいは甘いものを食べたときに「キーン」とするあの感覚が、春になると急に気になり始めるという方は少なくありません。

「気のせいだろう」「そのうち治るかもしれない」とやり過ごしてしまいがちですが、実は春特有の環境変化と口腔の状態には明確な関係があります。本記事では、春に歯がしみやすくなる理由を科学的・生活習慣的な観点から解説するとともに、対処法と歯科受診の目安についてもわかりやすくお伝えします。

そもそも「歯がしみる」とはどういう状態か

歯がしみる感覚の正式な名称は「知覚過敏(象牙質知覚過敏症)」です。健康な歯は、外側をエナメル質という非常に硬い組織が覆っており、内部の象牙質を保護しています。しかし何らかの原因でエナメル質が薄くなったり、歯茎が下がって歯の根元(象牙質)が露出すると、外部からの温度・圧力・酸などの刺激が象牙質の細い管(象牙細管)を通じて神経に伝わり、「しみる」という鋭い痛みとして感じられます。

知覚過敏は虫歯とは異なりますが、放置すると症状が悪化することもあります。また、知覚過敏に似た症状が実際には虫歯や歯周病から来ていることもあるため、「しみる」という感覚が続く場合は自己判断せず、歯科医師に確認してもらうことが大切です。

春に歯がしみやすくなる理由①――気温差による刺激の増加

春は一日の中での気温差が大きい季節です。朝夕は冷え込んでも、日中は暖かくなる。花冷えと呼ばれる寒の戻りもあり、日によって気温が大きく上下します。この気温差が、歯がしみやすくなる大きな原因のひとつです。

冷たい空気が口の中に入ると、歯のエナメル質や象牙質に直接冷刺激が加わります。知覚過敏を持つ方や、歯茎が少し下がっている方にとって、この冷刺激は「しみる」感覚を引き起こすトリガーになります。また、冬の間は冷たい飲み物を避けていた方が、春になって冷たい飲み物を再び飲み始めることで、冬の間は気づかなかった知覚過敏に気づくというケースもあります。

「しみる」という症状は常にあるわけではなく、特定の温度刺激に対して反応することが多いため、寒暖差が大きい春に症状が表れやすいのはこうした理由からです。

春に歯がしみやすくなる理由②――冬の間の歯のダメージが蓄積している

冬は空気が乾燥しやすく、口腔内も乾燥しやすい環境です。唾液には口腔内を潤し、細菌の増殖を抑え、歯の再石灰化を促す重要な働きがあります。しかし冬の乾燥環境ではこの唾液の保護機能が低下しやすく、ミュータンス菌(虫歯菌)が繁殖しやすい状態になります。

また、寒い冬には歯を食いしばる癖が強くなる方が多いことも知られています。寒さで体が緊張すると、無意識のうちに顎に力が入り、就寝中の歯ぎしりや日中の食いしばりが増えることがあります。歯ぎしりや食いしばりが続くと、歯の表面のエナメル質が少しずつ磨り減り、象牙質が露出しやすくなります。こうして冬の間に蓄積されたダメージが、春になって知覚過敏という形で現れることがあるのです。

春に歯がしみやすくなる理由③――花粉症と口腔環境の関係

春といえば花粉症の季節でもあります。花粉症の方は鼻詰まりによって口呼吸が増えがちになります。口呼吸は口腔内の乾燥を招き、唾液による保護機能を低下させます。乾燥した口腔環境は、歯の表面を守るペリクル(唾液由来の保護膜)の形成を妨げ、エナメル質が酸などの刺激にさらされやすい状態を作り出します。

さらに花粉症の薬(抗ヒスタミン薬)には、唾液の分泌を抑制する副作用があることが知られています。薬を服用することで口の中がさらに乾きやすくなり、口腔内の細菌バランスが崩れ、知覚過敏の症状が出やすい環境が生まれます。花粉症を患っている方の中に、毎年春になると歯のトラブルを感じやすいという方が多いのは、こうしたメカニズムが背景にあります。

春に歯がしみやすくなる理由④――生活環境の変化によるストレス

春は進学・就職・異動・引っ越しなど、生活環境が大きく変わる季節です。新しい環境への適応に伴うストレスや睡眠の乱れは、免疫機能の低下につながり、歯周病菌への抵抗力が弱まることがあります。歯周病が進行すると歯茎が退縮し、歯根の象牙質が露出するため、知覚過敏が悪化しやすくなります。

またストレスが高い時期には、食いしばりや歯ぎしりが増えることも多く、エナメル質への物理的なダメージが蓄積しやすい状態になります。さらに生活リズムの変化によって、食生活や口腔ケアの習慣が乱れることで、虫歯や歯周病が進みやすい環境が整ってしまうこともあります。

春の「しみる」症状は、この季節特有の複合的な要因が重なった結果として現れていることが多いのです。

春の知覚過敏への対処法

「しみる」感覚が気になる場合、まず試していただきたいのが知覚過敏用の歯磨き粉の使用です。知覚過敏用の歯磨き粉には硝酸カリウムや乳酸アルミニウムなどの成分が含まれており、象牙細管をブロックして刺激が神経に届きにくくする効果があります。継続して使用することで、症状が和らぐことが多いです。

ただし、知覚過敏用の歯磨き粉はあくまで症状を緩和するものであり、原因を取り除くものではありません。虫歯や歯周病が原因の場合は、根本的な治療が必要です。また「しみる」症状が長引いたり、強くなっている場合は、歯科医師の診察を受けることをおすすめします。

歯磨きの際には、力を入れすぎないことも大切です。強いブラッシングはエナメル質を傷つけ、歯茎の退縮を招くことがあります。やわらかめの歯ブラシを使って、歯と歯茎の境目を優しく磨く習慣をつけることが、知覚過敏の予防・改善につながります。

歯科受診の目安

次のような状態が続く場合は、歯科医師への相談を早めにおすすめします。冷たいものや温かいものでしみる症状が2週間以上続く場合、痛みが強くなっている場合、特定の歯だけが強くしみる場合、甘いものや酸っぱいものでしみる場合、そして歯茎が腫れている・出血するなど他の症状を伴う場合です。

知覚過敏は適切な処置で改善できることがほとんどです。歯科医院ではフッ素塗布・コーティング材の塗布・マウスピースの作製など、原因に合わせた処置を受けることができます。「しみるくらい大したことない」と放置せず、早めに診てもらうことが大切です。

まとめ――春の「しみる」は身体からのサイン

春に歯がしみやすくなるのは、気温差による刺激の増加、冬の間のダメージの蓄積、花粉症による口腔乾燥、そして生活環境の変化によるストレスなど、複数の要因が重なった結果です。「なんとなくしみる気がする」という感覚は、口腔環境の変化を教えてくれる身体からのサインです。

定期的な歯科検診を習慣にしていれば、こうした変化を早期に発見し、対処することができます。春の気持ち良い季節を、歯の痛みや不快感なく楽しむためにも、気になる症状があれば早めに歯科医師に相談してみてください。

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